
009-「BOMBSONG」2008|国際ドラマリーディングフェスティバル特別本公演
| 2008/3/22,23|〒215-0004 川崎市麻生区万福寺6-7-1|
|作/テア・ドルン |演出|坂田ゆかり
|「痛みを痛みとして表現する」それが『BOMBSONG』という作品をつくるうえで私たちが何度も立ち返った原点である。この難解なテキストには何度も挫けそうになったが、結局いつも答えはそこにあったように思う。彼女の過激な言葉の裏に隠された本当の痛みを見抜くために、稽古の中で繰り返し対話し、多くの人を思い、また自分自身の過去や今を見つめ続けた。そして彼女の痛みをとことん共有したとき、私はもう彼女を“憎むべき孤高のテロリスト”として演じることはできなかった。どこにでもいる、不器用な一人の人間として愛さずにはいられなかった。抱えきれない痛みを爆弾に変え、明日の朝、電車に乗る。どうか彼女の話を聞いてほしい。痛みを、感じてほしい。(稲継 美保)
|渡された戯曲は、現実感とともに、とても遠くにあるような気がした。美術として劇場に一つの部屋を設置した。その部屋はいろいろなものが裏返っていて、内は外に外は内になっている。そんな裏返った空間、記憶、時間がダンサーの行為、映像、照明とともに場をつくっていった。初めて劇場で行った舞台ということもありその装置を会場に設置するところまでしか想像をしながら、制作することはできなかった。実際箱を置いたあとに、それを見据えた上での照明やシーン(役者の動き、)映像が場に折り重ねられていく過程は感動的だった。普段手にとって触れる箱の様に、今回の僕がつくった箱は照明、役者、といったそれぞれの作り手が、シンプルな意図もふくめて、自由に捉えることができたようで、本番も厚みをもった舞台としてつくりあげることが出来たと思う。 (森純平)