カスティリオーニ

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98年にお会いした時カスティリオーニは、学生たちに宛てて書いたという、短い手紙を渡してくれました。
多木さんが訳してくれたその手紙は、僕らの宝物です。

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学生達への助言 / Achille Castiglioni

好奇心がないなら、やめた方がいいでしょう。
人々のすることや、彼らの反応に関心がないとしたら、
デザインはあなたの職業ではありません。

世界の発明家になろうとしてはいけませんよ。
そうあってはいけないし、
そういうものではないのです。
アイロニーを持って自分のことを眺め、みずからを批判する能力を養っていくことから始めましょう。

流行やスタイル。
もっと悪い場合には、トレミオ(賞)だとか成功。
そうした見地から物事を見ようとしたり、
分類しようとしたり、判断しようとする気持ちから自由になりなさい。

路上の人々や、映画だとかテレビの中に見られる人々のごく日常的な身振りや態度、
当たり前で、誰も目にもとめないようなフォルムを、批評的な目で観察することを学んでください。
何ができるか、新しい何をつくるべきなのかを学ぶためにです。

いいプロジェクトというのは、自分の存在を後世に残そうという野心から生まれるものではない。

あなた達がデザインしたものを使うことになる、誰も知らない見ず知らずのほんの小さな人々と、ある交換をしようと思う、
その気持ちから、いいプロジェクトは生まれるのです。

研究が仕事にとってすべてであるということを、頭に入れておいてください。
作品は、その研究の過程の一つに過ぎません。
一時的なステップであって、それが結果や結論ではないのです。

芸術家による象牙の塔といったコンセプトは、もうすっかり忘れてください。
デザインの作品は、いろんな能力を持った人達の協働による、多くの努力の成果として生まれるものです。テクニカルなこと、インダストリアルなこと、コマーシャルなビジネスのこと、そしてもちろん美的なこと。
各分野における能力を持った多くの人が集まり、力を合わせて出来ていくのです。

ですからデザイナーの仕事とは、こうした集団による表現の作業をまとめていくものだと思ってください。

経験は、確かなものを与えてくれるわけではありません。むしろ反対に、ますます失敗をおかす可能性を増やしていくだけ。
時間を経れば経るほど、よりいいデザインをしていくことは難しくなるのです。

それに対する対抗処置は何だろう?
いつもゼロから、研究の気持ちと忍耐力を持って始めることです。

人々の振る舞いの中に誤りを見つけだすこと。
そして、習慣化してしまっている規範を越えていく視点を発見すること。
デザインを前へ進めていくための本当のテーマは、
こうした中に探されるべきだということを、学生たちにわかっていて欲しい。

1997/2/14
訳:多木陽介

http://www.livingworld.net/blog/nish_071117/